東京・藤原峠と横沢入/サイクリングの記憶

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不定期連載の「サイクルツーリングの記憶」コーナー。前回は巌道峠、大川原天神峠から和田峠、五日市へのご紹介でした。今回は12年前のちょうど今日、2003年の9月23日に訪れた”記憶です”。(”記憶”ですで、ツーリングに行かれる方は必ず最新の情報をご確認下さい。)


【 年月日 】 2003年9月23日
【 ルート 】 JR武蔵五日市駅前-r33(檜原街道)-r205-北秋川沿い-入間・白岩林道(藤原峠)-横倉林道(途中まで)-数馬下-r206-r33-JR武蔵五日市駅前-横沢入(横沢・小机林道及び峠)-大悲願寺-JR秋川駅
【 車 種 】 ランドナー


入間・白岩林道は、檜原村を東西に走る浅間(せんげん)尾根の藤原峠を超えて、秋川北部の藤原、倉掛と南部の数馬下を結ぶ林道だ。2年前(2001年3月号No.443)のニューサイクリング誌のコースガイド等で紹介されて以来、訪れる機会を望んでいた。

先週までは残暑が厳しかった関東地方も、今週に入りようやく秋の気配を感じられるようになった。Tシャツの上に長袖を羽織って、1年半ぶりの来訪となるJR武蔵五日市駅前には朝の8時過ぎに到着。

駅前からは檜原街道を走る。ロードレーサーを走らせる姿が多く見られ、恐らく奥多摩周遊道路の風張峠を目指すようだ。一方こちらは完全にサイクリングモード。しかし休日のせいか交通量も比較的多いため、通常より幾分かはペースは上げ気味だ。

本宿(もとしゅく)のT字は北(右)へ。北秋川沿いの道に入り、神戸岩から大ダワへ続く鋸山林道への分岐を右に見送ると、この先は林道以外は行き止まりのせいか、車の量もめっきり少なくなる。ようやくペダルを漕ぐ脚を緩めてノンビリ出来る。

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北秋川沿いの道にて。やがて「北秋川」は林道名にもある「白岩沢」に呼び名が変わる。
ちなみに林道名「入間・白岩林道」に登場する「白岩」(しらや)とは、書物(※1)の地図では倉掛山の東辺り、その本文から引用によると「倉掛もどん詰まりが茗荷平、右山が白岩、白岩の低いところは下平とも呼ぶ」とのこと。なお風張峠を別名「白岩峠」と呼んだそうだ(※2)。
もう片方の名前「入間」については「数馬からは一枚岩、いるまから(中略)浅間尾根に登った」との記述が別の書物(※3)にあり、また数馬下から浅間尾根に向けて突き上げる沢が「入間川」と呼ぶようなので(※3)、現在の数馬下付近にあったと推測するが如何だろうか?

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現在舗装化進行中のこのダートな林道は、平成7年の2万5千図には数馬下側しか記載がなく、比較的近年に完抜した林道のようだ。
とっかかりは浮石も多く少々荒れているが、徐々に締まった路面が現れて、ところどころにヌカルミで苦労するも乗車しての登坂が可能だ。そんなダートな道を求めてか、オフロードバイク2台と遭遇し、彼らは砂埃を上げながら登っていく。
道路脇に目をやれば、もうススキの穂が顔を出している。もう秋なんだなぁ・・・。

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林道上の藤原峠(標高は850m程)には11時過ぎに到着。なんとなく素っ気無い印象を受けるのは、展望が望めないからではなく舗装化のせいでしょう、なんてちょっと意地悪コメント、ゴメンナサイ。
この林道は浅間尾根を乗り越しているため、写真左手の浅間嶺方面への階段口(自転車の置いてある場所)から、写真には写っていないが、右手の風張峠に向けて山道が延びている。

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せっかくなので、その尾根上の旧峠を探しに空身のまま浅間嶺方面に向けて歩いてみる。
薄暗い林の中を湿り気のある少し滑りやすい土の路面に注意しながらも、歩き始めてすぐに小さな鞍部に辿り着く 木に小さく「藤原峠」の表示板が結んである。
かつて浅間尾根は数馬と五日市の交易の道であった。それゆえ、この峠は一般的な「向こう側に越えるための峠」であるのと同時に、「尾根に取り付くための峠」でもあったのだろう。
ちなみに藤原峠には「数馬峠」の別名があり、また浅間尾根全体を指して「浅間峠」とか「数馬峠」とも呼んだようだ(※2)。

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林道に戻り、再びサドルに跨る。峠から数馬下側は100%舗装化されている。この様子では全面舗装化も時間の問題だろう。
落石跡に注意しながら、その舗装路を下るにつれ、周遊道路を走るバイクの爆音が聞こえてくる。それでも、ふと空を見上げると山並みの上にこんな雲が。サドルから降りて、しばし景色を堪能・・・。

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このまま林道を下るのも名残惜しいので、途中の道路脇から浅間尾根に戻るように延びている小さな林道(横倉林道)にお邪魔。完全に林業用の作業道らしく、立て看板の地図によれば行き止まりのため、適当な場所でUターン。
黄色や白の蝶々がたくさん舞っていたのが印象的だったなぁ・・・。

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製材所を過ぎ、程なく小さな橋(「一枚石(いわ)橋」)を渡ると、檜原街道の数馬下へ合流。

檜原街道に合流してからは、下り基調の道をJR武蔵五日市駅前まで戻る。
当初は郷土資料館を見学する予定だったが、残念ながら祝日のため休館。
時間が余ったので1年半ぶりの再訪となる「里山、横沢入」にお邪魔することにした。
雑木林の中のダートな林道を登れば、やがて切り通しの小さな峠(標高260m)だ。

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横沢入にある、小さな峠。この道はポタリングにもピッタリ。

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写真は峠からの下り道。
この風景が、電車が走る線路のすぐ裏手にあるなんて信じられないなぁ・・・。
関係者の努力の賜物なのだろう。
色々な困難があると思うが、いつまでも残して頂きたいと思う。

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草原地帯で出る。家族連れがピクニックに来ており、子供さんも虫取りに夢中で楽しそう。
こんな光景、久しぶりに見るなぁ・・・。
里山を後にすればJRの線路のすぐ脇に出る。
近くには古刹、大悲願寺があり、三脚を置いた写真家の方々が本堂を撮影していた。
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(参考文献)
(※1)(「檜原村紀聞-その風土と人間-」瓜生卓造著 東京書籍 1977年)
(※2)(「復刻版 奥多摩」宮内敏雄著 百水社 1992年)
(※3)(「檜原・歴史と伝説」 小泉輝三朗著 武蔵野郷土史刊行会 1979年)


※今回の「サイクルツーリングの記憶」は久々となりました。また不定期で掲載していきます。宜しければ今後ともお付き合い下さいませ。


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