山梨・柳沢峠から犬切峠へ(サイクルツーリングの記憶)

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今回のサイクルツーリングの記憶は、群馬 万騎峠・二度上峠に続いて、久々のロードレーサーです。
下のプロフィールマップをご覧いただくとお分かりになるのですが、最後がブスッと切れてしまっています。果たしてその訳は・・・。


【 年月 】 2003年11月
【 ルート 】 JR勝沼ぶどう郷駅−塩山駅前−青梅街道(柳沢峠)−一ノ瀬林道(犬切峠)
【走行距離】 約42ロ
【 車 種 】 ロードレーサー


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無人の勝沼ぶどう郷駅を8時前に出発。塩山から「青梅街道・大菩薩ライン」に入り、右手に大菩薩嶺を眺めながら登っていく。
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時間帯のせいか、交通量は思ったほどでもなく悪い道ではない。ただし直線気味の単調な登りが「大菩薩の湯」辺りまで続き、辛いところであるが、その後はようやく九十九折になる。
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街道脇にある介山記念館。今日はお休み?脇には『大菩薩峠』の主人公、机竜ノ助の像がある。そう言えば『大菩薩峠』、未だに完読していないなぁ・・・。

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10時半に柳沢峠に到着。標高は1,472m。
晴天ならば富士山も見えるようだが、本日は曇り空のため展望は望めずに残念だ。
峠は車やバイクで結構賑わっており、奥の駐車場では登山服姿の人も見かける。
茶屋ではアイスクリームを販売しているが、さすがに買う人はいないですね(苦笑)。気温は4度ですもの・・・。)

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そのまま青梅街道を下り、落合から北へ左折、高橋川沿いの一ノ瀬林道に入る。
標識に従って右へ分岐し犬切峠を目指す。たまに車が通る位の、少し寂しげな雰囲気の道だ。なお一ノ瀬一帯は東京都の水源林でもある。

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新犬切峠は三叉路になっている。
林道はそのまま北へ延びて(写真では奥へ進む)一ノ瀬高原をぐるっと周回する格好であるが、ここは進路を東にとり、旧犬切峠を目指す。

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程なくして旧犬切峠に到着?(写真は少々場所に自身がありません、ごめんなさい)。
ここは一ノ瀬と高橋を結ぶ峠道だ。

「イヌキリ」とは「往ぬ、きり」だと述べた方がいる(※1)。他にも「”イヌ”とは痩せ地のことで、そこを切りひらいた」(※2)という地形説もある。更に漢字にすると何やら曰くつきの名前になる。案の定、次のような伝承があるようだ(※3)。 「250年ほど前に、一ノ瀬の忠兵衛という男が塩山に穀物の種を買いに行った。帰り道、悪い狼が出ると言われている峠に差し掛かかると、足元に狼らしきものが迫った。忠兵衛は脇差を抜いて切りつけたところ、狼の尻尾だけ見つかる。以後、峠には狼は出なくなり、それ以来、犬尾切峠と呼ばれ、明治の地図作成時に切られた狼と同じように”尾”が無くなって犬切峠となった。」
この伝承にしても、先の「往ぬ、きり」説にしても、この峠を越えることが当時はいかに大変だったかということが伝わってくる。一ノ瀬高橋は山梨県の最奥地、その生活には並々ならぬご苦労があったことだろう。
それにしても犬かぁ・・・。何しろ、今までもサイクリング中に足首を噛まれたり、番犬に追いかけられたりと散々だからなぁ・・・。嫌な予感。(-_-;)

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峠からの下り道。
最初は綺麗な舗装路だが、じきにコンクリのガタガタ道なってしまい、雰囲気は良いが、ロードでは相当に厳しい。次回は林道を下って集落の方まで訪れてみよう。 IMG_0036q
ガタガタ道も終わり、ようやく舗装路に合流。青梅街道の「おいらん淵」の合流地点に向けて更に下っていく。
しかし、ここで嫌な予感が的中した。カーブの途中、草むらから飛び出してきた犬!を避けようとブレーキングしたところ、落ち葉でリアが滑って、ガードレールに激突。

うーむ、「犬切峠」だけに尻尾を切られた狼の祟りか、それとも「おいらん淵」に沈められたという遊女たちの呪いか・・・。ホイールが自分の身代わりになってくれたお陰で、体の方は小さな傷と打ち身で済んだのが不幸中の幸いである。

このまま歩いて帰るのか・・・と呆然としていたところ、運良く1台の車が通りかかる。笠取山帰りの親切なご夫婦だった。事情を説明し、ご好意に甘えさせて頂いて奥多摩駅まで乗せて頂く。(東京の○○様、本当に有難うございました。)

(参考文献)
(※1)「多摩」(米光秀雄、滝沢博、浅井徳正著 武蔵書房 1969年)
(※2)「日本山岳ルーツ大辞典」(竹書房 1997年)
(※3)「多摩源流を行く」(瓜生卓造著 東京書籍 1981年)・・・一ノ瀬高橋、丹波村、小菅村のルポルタージュ。お薦めです。

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